「滅菌」よりも「殺菌」の方が上と言われる先生

歯科感染対策院内勉強会を重ねるにあたり様々な情報が飛び込んできます。

これもその一つです。

「滅菌よりも殺菌の方が上!」だと信じておられる先生にお会いしました。

どこからの情報かお答え頂けなかったなかったのですが、過去に入手された情報をそのまま頑なに信じられておられるのかもしれません。

先生のコメントで「そう習った!」、この言葉が印象的でした。

以前、投稿しましたが、時代の変化と共に科学的な進歩もあり、根拠を持った対応方法も変化していきます。「滅菌保証のガイドライン」が更新されています。時代の変化に応じた情報を入手しなければならないと改めて感じました。

「滅菌」と「殺菌」について記しておきます。

滅菌(めっきん)

漢字の通り、「菌を滅(ほろ)ぼす」こと(無菌性を達成するためのプロセス)です。有害・無害を問わず対象物に存在しているすべての微生物(細菌やウイルスなど)を殺滅(さつめつ)または除去することで、日本薬機法(旧日本薬局方)では「微生物の生存する確率が 100万分の1以下になること」をもって、滅菌と定義しています。

「減菌(げんきん)」と間違った記載がされることがありますが、「減らす」のではなく「滅ぼす」ことですので「滅菌(めっきん)」です。

殺菌

殺菌とは微生物を殺滅する効果のことで、殺滅する微生物の種類や量についての定義はありません。

対象物を滅菌したという場合は、その後の微生物の混入や増殖がない限り、すべての微生物が存在しないことを示しますが、一部を殺しただけでも「殺菌した」と言えますので、この用語を使う場合は、有効性を保証したものではない、ともいえます。

参考:日本医療機器学会::医療現場における滅菌保証のガイドライン2021